エッセイ「からあげ」という愛の継承

高校生の頃に居候していた祖母の家の隣に
鶏肉の精肉店があった

基本的には生肉を売っているお店なのだが
「からあげ」だけは調理されて売っていた

祖母はそのお店に時々お手伝いをしに行っていたので
私の夕飯は週一回程度「からあげ」だった

そこの「からあげ」はやたらと大きい
もも肉を５分割くらいしかしてなかったんじゃないかな
大きすぎて食べにくいなと当時は思っていた
でも、やたら衣がパリパリしていて美味しかった

「からあげ」ってさ、みんな好きだよね
あんまり好きじゃないって人に出会ったことがない

うちの子どもたちも例に漏れず「からあげ」が大好きだ

どうせなら
美味しい「からあげ」が食べたい・食べさせたいと思い
「からあげ」を作る際には気合いを入れる

市販のからあげ粉を使うより
小麦粉と片栗粉を混ぜて作った方が好みなので
（夫と子どもはどちらでも良いそうだが）
少々面倒だがそのようにしている
（自分が食べたいだけ）

学生時代、母や祖母や鶏肉屋さんに作ってもらっていた
「からあげ」を今は私が子どものために作っている

私だけではない
全国いろんなご家庭といろんなお店で
毎日大量の「からあげ」が作られている

それぞれ違う味や大きさや触感かもしれないが
そこには誰かを想う気持ちがある

時代は移り変わっても
「からあげ」を通して愛の継承が行われることは
変わらない

というか変わってほしくないな