エッセイ「かわいそう」という虚像

蝉と言えば、土の中で10年近く過ごし
地上に出てきてから数週間程度で死んでしまうと言われる

私の父は
「蝉は1週間しか生きられんからかわいそうだ」
と言っていた

私はそれを聞いて
「なんで人間の感覚で蝉の一生が短いと判断し、かわいそうだと認定するんだろう」
と思った

もしかしたら蝉は地上にいるのが苦しくて
鳴いているかもしれないのに・・・

人はいつもこうやって
自分の価値基準で物事を判断する

それ自体は悪いことではない

価値基準がないと判断できないのは
ただの優柔不断だ

だから父が蝉のことをかわいそうだと思うこと自体は問題ない

しかし
もし蝉のことをかわいそうに思わない私を
非難するのであればそれは間違っている

自分の持つ価値基準が皆同じであると考え
その考えを押し付けたり
違う考えを非難するべきではない

身長、体重、国籍、性別、血液型、DNA・・・
みんな違うんだから価値観だって違って当然だ

自分が「かわいそう」だと思ったとしても
本人自身がそう思っているとは限らない

その特性を気に入って
自信を持っている可能性だってある

「かわいそう」は
外野が勝手に作り上げた虚像にすぎない


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