ことばの羽根 ~あるSTの物語~38

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さてそんな周囲からの期待を背負った
40代嚥下障害男性・・・

ではあるのだが
周囲からの期待を背負っているのは
彼だけではない

STも同様だ

家族と多職種とそして本人からの
「なんとか食べさせろ」
という無言の圧力があった
いや、無言ではない
直接言われていた

その患者さんの担当STは私だったが
当時の私は2年目になったとはいえ
まだまだ半人前

その無言と
有言(という無言の反対語はなさそうだが)
の圧力、そして
自分自身の無力感に苛まれていた私は
先輩STに担当の変更を申し出た

「若い患者さんだから
 半人前の私が担当しないほうがいい」と。

そしたら先輩STに

「そんなことを言っていたらきりがない
 あなたがやりなさい」と諭された

正直に言って
各セラピストの力量には差がある

誰が担当するかによって
予後が変わることもあるだろう

最近では複数人のSTがいる場合が多いので
まだ良いが、ひとりしかSTがいないような
病院へ入院したらそのひとりしかいないSTの
力量に大きく左右されるわけだ

これからの人生
話すことができるか
そして食べることができるか・・・

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