Ns PT OTに知っておいてほしい 病棟・リハビリで使える失語症コミュニケーション活用術
本書により、失語症の患者さんと接しやすくなります。
メインメッセージ
失語症の患者さんとの適切な接し方を知ろう
このような方へ
失語症の患者さんと接する機会のあるNs,PT,OTのあなたへ
注意
① 本書はご家族の方向けというよりは、病院などで働くスタッフ向けに書いております。ご家族の方が読んでくださってもなんら問題はありませんが、スタッフ寄りの内容であることをご承知おきください。
② 失語症に苦手意識のある方にも読んでいただきたいため、なるべくわかりやすく書くことを心がけました。 そのため専門的な記載は省いている箇所もあります。
③ 私自身回復期リハビリテーション病棟での勤務が長いこともあり、記載内容は回復期向けの内容になっています。
--- はじめにより ---
この本に興味を持っていただいたということは、職場もしくはご家庭で失語症の方と接する機会があり、そのコミュニケーション方法に困っていらっしゃるのではないでしょうか。コミュニケーションがとれないことで時にいらいらしたりされたり、申し訳ない気持ちになってしまうこともありますよね。 失語症の方とのコミュニケーションは本当に難しいですよね。
本書では失語症の方とのコミュニケーションを取る際のポイントや気を付けていただきたいことについてまとめました。
本文に入る前に簡単に自己紹介をさせてください。 諸事情によりペンネームで本書を出版しておりますが私は2000年代に言語聴覚士国家試験を受け、言語聴覚士(以下ST)資格を取得しました。 その後、主に病院の回復期リハビリテーション病棟で回復期の患者さんへのリハビリに従事してまいりました。 また、亜急性期、維持期の患者さんのリハビリにも携わらせていただきました。 短期間ではありますが訪問リハビリの業務を行ったこともあります。 職場としては現在働いている場所で3箇所目です。 資格取得からもうすぐ20年。 育児と自身の病気などにより、この間ずっと働いていたわけではありませんが、とはいえ、そこそこ経験も積むことができました。
患者さんのリハビリを行う中でうまくいかず、自分の無力さを嘆きつつも勉強を重ね、最近では役に立てることが少しずつ増えてきたように思います。
その中で、失語症のリハビリというのはST が行うものではあるけれども、病棟の看護師さん(以下Ns)や理学療法士さん(以下PT)、作業療法士さん(以下OT)、その他たくさんのスタッフのお力添えがあることで、言語面の回復はなされやすいと感じています。 とはいえ、職場によって、そしてスタッフによって、誤った対応がなされている場合もあります。 失語症の患者さんとのコミュニケーション方法を詳しく学校で習うわけではないでしょうから、やむを得ないことです。 しかし、適切にコミュニケーションを取らないことによる弊害があります。 詳細については本文で述べさせていただきますが、適切にコミュニケーションを取らないことにより
・意思疎通ができない、それにより事故やトラブルとなりうる
・回復の妨げとなる、それにより入院期間が長引いたり、退院先も左右することとなる
・孤独を感じる
という問題が発生します。
本書により、失語症の患者さんとの適切なコミュニケーションについて考えるきっかけとなっていただけたらと思います。
目次
はじめに
第1章 失語症とは
1 概要
2 タイプ分類
第2章 適切にコミュニケーションをとる必要性
1 意思疎通ができない
2 回復の妨げとなる
3 孤独を感じる
第3章 適切にコミュニケーションをとる方法
1 話しかける時のポイント
〇「うなずいたから理解した」ではない
〇 大きな声は必要なし
〇 ゆっくりはっきり話しかける
〇 大事なことは繰り返し伝える
〇 文字や絵などを併用する
〇 抑揚をつけて話す
〇 身振り手振りをフル活用
〇 お顔を見て話す
2 話を聴くときのポイント
〇「言えないなら書いて」は通用しない
〇 50音表の指差しは難しい
〇 コミュニケーションノートも難しい
〇 選択肢を与える
〇 言ったことを全て信じてはいけない
〇 一度言えたから、もう大丈夫ではない
〇 音より感情が大事
〇 言葉は物の名前を言う為にあるのではない
3 その他覚えておいてほしいこと
〇 すぐには回復しない
〇 複数人の会話は難しい
〇 その文字の練習本当に必要?
〇 誤解されやすい
〇 情報が届かない
〇 孤独を感じている
〇 認知症とは異なる
あとがき
奥付