ことばの羽根 ~あるSTの物語~45

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さて前回は「わたり」の説明をして
終わってしまったのだが
ウェルニッケ失語の患者さんは
このように「わたり」までも1つの音として
聞き取ってしまうゆえに
単語の聴き取り、そして聴いて理解することが
苦手になってしまう


そんな患者さんに対して当時
1日あたり40分もしくは1時間
週に6日リハビリを行っていたと思う

毎日のリハビリ、看護、介護
そしてなにより本人の意欲と努力の甲斐あって
この患者さんはどんどんと
良くなっていった

不十分さや間違いがあることは否めないが
リハビリ開始から3ヶ月経つ頃には
日常会話レベルの意思疎通であれば
それほど問題がないレベルになった

「日常会話レベル」と言ったが
やはりよく使うことばであれば
はっきりと聴き取れていなかったとしても
想像しやすい。そのため
なんとか補うことが可能であり理解しやすい

しかし専門用語など耳なじみのないことばは
難易度が上がる
そうなってくるとまだまだ難しいという状態だった

さて、前述の通り私はこの患者さんの
症例報告をすることになっていたので
正直なところ、この患者さんに対して
熱心になっていた

それ自体は悪いことではないのだが
その結果少々問題も起こしてしまった

次回はそのあたりについて
書いていこうと思う

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