ことばの羽根 ～あるSTの物語～18

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そんなわけで私は
完全に新設というわけではなかったが
非常勤の先輩しかいない
言語聴覚士の仕事や立場が
まだ確立されていない病院の面接を受けた

なぜ私がその病院（A病院としよう）で
働こうと思ったか
今回はその理由について書きたいと思う

いくつか理由がある

まず地元であること

そして回復期リハビリを行えるということ

少々自信過剰で
ひとり職場でもなんとかやっていける
と思っていた部分もあるのかもしれない

そしてもうひとつ大きな理由があった

それは院長先生の存在だ

私自身は面識はなかったが
看護師の母はその院長先生と
以前同じ職場で働いていたことが
あったらしい

それはそのときから更に20年以上前
私が生まれる前のこと
その頃はまだ別の病院で働いてみえ
「院長先生」ではなかったとのことだ

私には姉がいた
姉は生後１週間で心臓の病気により
亡くなった
そのため私は姉に会ったことはない

当時その先生は
一緒に働いている母が
我が子を心臓病で亡くしたことを知り
泣いてくれたそうなのだ

私はその話を母から聞き
そんな先生が院長を務める病院なんだから
良い病院に違いない！！
と思った

そんなわけでその先生が院長を務める
A病院で働きたいと思ったというわけだ

　　続く。

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