STユニフォームと医療の変遷
言語聴覚士という仕事をご存知でしょうか
ごく簡単に言うと脳梗塞などで脳にダメージを受けてことばや飲み込みなどに問題が生じてしまったかたへリハビリをする仕事です
(他にも聴覚の分野や小児の発達の分野もあります)
私はこれまでに3つの病院にて言語聴覚士の仕事をしてきました
3か所のユニフォームがそれぞれ異なり、それが医療業界の変遷をうまくあらわしているように思えたのでご紹介してみたいと思います
注意
上記のように書きましたが、それぞれのユニフォームに良さはあり、そのユニフォームを採用しているのにも理由があるかと思います。そのため現在のユニフォームがどのようなものであっても「時代遅れである」などと言いたいわけではありません。スタッフ全員のユニフォームを変更するにはかなりのお金もかかりますしね。
そしてあくまで、私が勤務した職場での話です。すべての病院に言えることではありません。
このような流れがあるんだなとゆるーく捉えていただければ幸いです。
私が勤務した3か所の病院のユニフォームは上記のようなイメージです
左 → 真ん中 → 右
の順序です
スカートでも良かった『 ドクター白衣時代 』
初めのユニフォームからいきましょう
テレビドラマや地域の開業医の先生がよく着ている、いかにも医者ってかんじの白衣ですね、ドクターXの米倉涼子さん演じる大門未知子先生を思い出してもらうとわかりやすいのではないでしょうか
私は学校を卒業してすぐ、なにもわからない新人のときにこの白衣を着ていました
正直、ものすごーく嫌でしたね
なにもわからない、なにもできないのに服だけ立派で・・・
せめて見た目だけはちゃんとしようと常に背筋を伸ばして歩くように気を付けておりました
白衣の中の服は自由です。私服です。スカートでもOKでした
さすがに大門先生のようなミニスカートは履きませんでしたがスカートで業務にあたることはありました
さて、患者さまの中にはうまく歩けない方もいらっしゃいます。その場合、車いすを使用されていることが多いのですがベッドから車いすに移る際、介助をしないといけない場合もあります。患者さまの状態によって介助の程度はさまざまですが「よっこいしょ」とスタッフ側がかなり頑張らないといけないことも多くあります。その場合言うまでもなくスカートは不向きなんですよね
しかしなぜスカートが許されていたか・・・
当時、私の勤務する病院では言語聴覚士はベッドー車いす間の乗り移り(移乗)介助を行わなくても良かったのです
看護師さんや介護士さんに「お願いしまーす」と言えばやってもらえたのです
おそらく2023年現在そのような病院はないといっても過言ではないでしょう(腰が痛いなどできない事情がある場合は話は別ですが、そうではなくても頼めばOKというのはまずないでしょうね)
というわけで移乗を自分でやるのが当たり前となっている2023年現在、言語聴覚士のこのユニフォームはなかなかお目にかかれないのではないかと思います。着ていたとしてもパンツスタイルでしょうね
ちなみに言語聴覚士以外のリハビリ職は次に出てくる「ケーシー」スタイルでした
THE リハビリ職の王道ユニフォーム『 ケーシー時代 』
続きまして、2箇所目の病院ではこのようなユニフォームでした。この画像ではわかりにくいかと思いますが、「ケーシー」と呼ばれる白衣です。ケーシー高峰さんが着ている白衣ですね。テレビドラマに出てくる研修医役の役者さんもよく着ていますね
病院などに実習に来る学生さんも多くはこのケーシーを着用しています。
パンツに関しては、学生さんの場合は白が多いですが、病院のスタッフでは白か紺が多いかなと思います。私が勤務していた病院では紺色でした
「ケーシー」は左胸と左右それぞれにポケットがあったので業務に必要なメモ帳、ペン、ペンライト、ストップウォッチ、舌圧子(アイスの木の棒のでかいやつ)、ガーゼなどなどいろんなものを入れていました。私はいつも入れすぎて重かったですねぇ。ポケットにたくさん入るのはありがたいのですが移乗時には邪魔になることもありましたね
さてリハビリ職は皆同じこのユニフォームでしたが、医師は先に載せたようなドクター白衣を着ていました。ワイシャツ+ネクタイ+ドクター白衣といったよく見るスタイルですね
医療職には見えない『 ポロシャツ時代 』
続きまして、3箇所目の病院では紺のポロシャツにベージュのパンツのスタイルでした。このユニフォームは「病院」というかんじは全くないですよね
ちなみにこの病院では医師も看護師もリハビリスタッフも医療事務も皆が同じユニフォームでした。以前はピラミッド型の頂点に医師がいて他のスタッフがそれに従う、医療の中心は医師という構造でした。しかし近年は医師も他の医療職も平等に、対等の立場で意見交換をすることが重要とするチーム医療の考え方が浸透してきています
その流れがユニフォームにも表れているんだなと感じました
ただ、言うまでもなく入社時は誰がどの職の人なのかさっぱりわからなくて困りました(笑)
ちなみにこのユニフォームだと上衣にポケットはないため持ち運べるものの量には限界があります。そのためウエストポーチをつけて必要なものはそこに入れるというスタイルでしたね
まとめ
2005年頃
まだまだ言語聴覚士が世の中に認知されていなかった時代
移乗をお任せすることができていたのでスカートでも業務にあたることができた
2015年頃
PT・OT(理学療法士・作業療法士)に加えてST(言語聴覚士)も認知されてくるようになった
リハビリ職のユニフォームは同じだが医師とは隔たりがあるかんじ
まだまだ医療の中心は医師
2020年頃
全ての職種が対等であるべきとの認識が広がる(とは言っても・・・という部分はもちろんあるが)
それに伴い皆同じユニフォームにて業務にあたる
さて今回は私がこれまでに着てきたユニフォームと医療業界の変遷をまとめてみました。あくまで私が勤務してきた職場の話なのでその点はご了承くださいませ