ことばの羽根 ~あるSTの物語~36
前回のお話はこちら
前回「むせなければOKではない」と書いた
今回はこの件について記していきたい
「むせる」という反応は
食べ物や水分や唾液などの
本来食道へ行くべきものが
誤って気道に行ってしまった場合に起こる
このような誤って気道へ入ってしまうことを
誤嚥という
本来気道を通るべきものは空気のみだ
肺の方へ空気以外のものが入ると
肺炎になってしまう危険性がある
それを防ぐために
誤って入ってきた空気以外の異物を
「むせる」という反応により
追い出しているのだ
「むせる」という反応も
生体防御反応のひとつなのだ
というわけで「むせ」=悪ではない
むしろ
むせるということは素晴らしいことだ
もちろん
むせると非常に苦しく体力を奪われる
むせないに越したことはない
STの役目は患者さんがいかにむせずに
水分や食事を摂取できるようにするか
トロミや形態、環境を設定することだ
しかし、むせていないからオールOKではないのだ
高齢であったり病気などの影響により
異物が誤って気道の方へ行ってしまっていても
むせない場合がある
むせないとどうなるか・・・
どんどんと気道の方へ流れ込み
炎症を起こし
最悪の場合、死に至る
患者さんがこの「むせない誤嚥」でないか
ということを見極めないといけないわけだ
前回の看護師さんのように
むせていないから一口量を増やしてOK
という安易な考えは少々危険なのである
ちなみにこの看護師さんの話は
今から20年ほど前の話で
最近の看護師さん介護士さんは
お願いしたとおりにやっていただけることが増え
ありがたく思っている
続く
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