エッセイ「本能的に生きよ」という寒々しいソメイヨシノからのメッセージ

あと1ヶ月もしないうちに
花開くであろうソメイヨシノ

ソメイヨシノは今はまだ寒々しい状態なのに
もうすぐあのきれいな花を
見せてくれるのだ

言うまでもなくソメイヨシノは
人間の事情など関係ない
政治家のお偉いさんが来たからとか
大勢お花見に来たからとか
入学式に満開になるように咲こうとか
そんなことを考えているはずがない

ただ、咲きたいから咲く
ただそれだけだ

「600℃の法則」というものがあり
2月1日以降の最高気温の合計が
600℃に達すると開花するらしい

だからソメイヨシノは空気を読んでいる
と言える
ただその方法が人間とはちょっと異なる

人間はまわりを気遣って
いろんなことを心配して
物事がうまく回るように空気を読んで行動する

しかしソメイヨシノは気温の合計
ただそれだけ
いや、正確にはそれだけではないだろうが
人間のように
あーだこーだと考えているわけではない

あくまで本能的だ

人間もソメイヨシノのようにもっと
本能的になればいいのかもしれない

まわりを気遣ってばかりいたら
きれいな花は咲かせられない

外見とか学歴とか収入とかそういう
人間のアクセサリーばかりに目を向けず
「この人といると楽しい」とか
「これをしているときが楽しい」とか
そういう気持ちの積み重ねをすることで
きれいな花を咲かせられるのではないか

まだ寒々しいソメイヨシノの樹を見て
そんなことを思った



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