エッセイ「自慢や自虐」という自分らしさ

他者と会話をする際の発話内容として
「自慢」「自虐」と「それ以外」
という分け方をすることもできる

会話というのはなにかと難しい

話し手が自慢しているつもりがなく
ただ真実を述べているだけでも
聞き手の状況やその時の気分
話し手に対する感情などによって
自慢されているように思ってしまうこともある

逆に話し手は自虐しているわけでもなくて
話を面白くしようと思って
言っているだけなのに
聞き手の受け取り方によって
自虐ネタと捉えられてしまうこともある

聞き手の立場のとき
自慢話を聴きたくない人もいれば
自虐ネタを聴きたくない人もいる
そしてそれは一律ではなく
そのときの体調や気分によっても異なる

実に厄介だ

しかしだからと言って
「自慢」「自虐」を避け
「それ以外」を選択する
つまり
「自慢」や「自虐」だと判断されない話題に
限定して話すと
当たり障りのない、
なんの面白味もない会話になる

例えば
「今日はいい天気で暑いですね」とか
「今年は台風あまりきませんでしたね」とか
「最近クマの被害が多いですね」とか
「米の値段がなかなか下がりませんね」とか

これらは自分の話題ではなく
天気や時事ネタばかりだ

これらの話題が悪いわけではないが
これらは誰と誰が話してもだいたい同じ内容になる

それはつまり
話し相手に「自分」というインパクトを
残すことができないと言えるだろう

会話の中で「自分」を出していくには
「自慢」と「自虐」になりかねない内容も
盛り込んでいく必要がある

「自慢」や「自虐」と受け取られかねない内容にこそ
「自分らしさ」が存在しているのだ

ただ、自慢にしろ自虐にしろ
程度と頻度の度が過ぎると
多くの場合、嫌悪を抱かれる

これらに注意してうまく「個」を出しながら
会話をしていくのが良いのだろう


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