ことばの羽根 ~あるSTの物語~48

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というわけでなぜだかよくわからないが
転院することなくギリギリまで
リハビリできることになった

回復期リハビリテーション病棟の入院期間は
基本的に1~3ヶ月
場合によっては6ヶ月まで認められる場合もある

この患者さんは4ヶ月程度だっただろうか

自宅へと退院された

職場の方の理解も良好そうで
職場との話し合いも入院中から行ってみえた

それ以上のことはあまり覚えていないが
元気に退院されていったことを
非常に嬉しく思った覚えがある

そして私はこの患者さんの評価とリハビリ経過を
まとめて、母校の専門学校での勉強会で
発表をした

基本的にウェルニッケ失語の患者さんは
手足に麻痺がないことも多い
それに伴い病識に欠けることも多いので
比較的はやく退院してしまう
そのため十分にリハビリできないことも多い

しかしこの患者さんはじっくりと
リハビリすることができ
以前も書いたように
不十分さや間違いはあるものの
日常会話レベルの意思疎通であれば
それほど問題がないレベルになった

ウェルニッケ失語の患者さんのリハビリとしては
わりとちゃんと結果を残せたのではないかと
自負している

しかし間違っても私がすごいわけではない
私を導いてくれたSTの先輩、主治医の女医さん
そしてなにより
ご本人の頑張りがあったからこそだ
ご本人の頑張りには本当に頭が下がる

続く

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