エッセイ「かわいい」という洗脳 ③
高校生のとき
「私はかわいくないから」
と言って、友だちに怒られたことがある
「自分で自分のことをかわいいと思わなかったら、誰も思ってくれないよ」
友だちは私にそう言った
当時好きだった人への想いがかなわず
悲観的になっていたところもあったように思う
友だちにそう言われたにもかかわらず
私は自分で自分のことを
かわいいとは思えない青春時代を過ごしたが
少なくとも
両親と祖父母は私のことをかわいがってくれた
しかしもし両親や祖父母すらも
幼少期という一番かわいい時期に
「かわいい」と言ってくれなかったとしたら
おそらく誰にも言ってもらえない
「かわいいこと」がすべてではないが
「かわいい」と言われ
無条件に愛してもらえる時期がないのは
せつないように思う
「かわいいかわいい」と言われ
甘やかされて育つと
社会に出てから苦労する
しかしどのみち世知辛い世の中
小さい頃くらい甘やかされて育つのも
悪くないのかもしれない
自分史史上
そんなちやほやされた時代があってもいいのではないか
「かわいいかわいい」と
私を洗脳した親バカな両親が
私に与えてくれたものは
もしかしたら
想像以上に大きいのかもしれない
続く。