エッセイ「かわいい」という洗脳 ②
「かわいいかわいい」と甘やかされて育った女の子は
少々たちが悪い
変にプライドが高かったり
わがままだったりする
それでも
誰もが認める絶世の美女であれば
うまく世の中を渡っていけるのかもしれないが
残念ながらそうではない場合
世間の風当たりは強い
私も例外ではない
自分を愛してくれない世の中を
ときには恨んだりもした
そして、そんな考え方しかできない自分に
嫌気がさした
あるとき私はひとりの女性に出会った
そのひとは自身の孫のことを
「かわいくない」と言った
お孫さんは当時2歳の女の子で
血の繋がっていない私から見ても
普通にかわいく見えた
というかそもそも
それくらいの子どもは
みんなかわいい
そして孫なんて
無条件にかわいいものではないのか?
しかも息子の妻ではなく
自分の娘が産んだ子
かわいくない要素なんてないように思えた
しかしそのひとは
「かわいくない」と言った
日本人特有の「謙遜」で言ったとは思えなかった
つまりそのひとは自分の孫のことを
本当に「かわいくない」と思っていたのだ
人それぞれいろんな事情や価値観があるので
そのひとを非難する気はない
ただ、そのとき私は思った
もしも世間一般的に見て
それほどかわいくない場合
親や祖父母が「かわいい」と言ってくれなかったら
その子は誰にも
「かわいい」と言ってもらえない人生を歩むことになるのではないか、と。
続く。