ことばの羽根 ~あるSTの物語~5
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私は両親に
「言語聴覚士になるための学校に行きたい」
と言った
看護師になるだろうと思っていた両親は
寝耳に水だったようで随分驚いていた
そして得体の知れない職業に
不信感を抱いていた
とはいえ国家資格だということもあり
言語聴覚士を目指すことを反対はされなかった
後から聞いた話だが
私は小さい頃から人見知りで
人付き合いもうまい方ではなかったので
そんな私が言語聴覚士になりたいと
言い出したことに母は驚いたらしい
さて、今でこそ国公立も私立も
言語聴覚士の受験資格を得るための勉強が
できる大学が全国各地に存在しているが
2000年を少し過ぎた頃はそうではなかった
たしか、私立大学が4校
国公立大学に至っては1校しかなかった
しかもそれらの大学のすべてが
実家からは通えない地域にあった
実家の経済状況では
私のひとり暮らし+私立大学の資金を
出してもらうことは難しかったこともあり
私は国公立大学を受験した
しかし全国で唯一の1校
しかも募集人数も50人程度と
非常に狭き門だった
というわけで案の定不合格となった
幸い、実家から通える場所に専門学校があり
そこには合格していたので
私は専門学校に行くことになった
高卒3年過程の学校だ
私が通っていた高校は
大学進学率100%の進学校なので
大学に行かないことに対して
後ろめたさや申し訳なさはあったものの
興味のない勉強をしに大学に行く気は
なかったのでこれで良かったのかもな
と思うことにした
続く。
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