読書記録「家事労働ハラスメント」
だれもが必要とする「暮らしの営み」のはずの労働が、なぜ正当に評価されないのか
本書は家庭内での男女の不平等さや社会における孤独感にもやもやとしている女性におすすめです
本書は以下の8部構成で書かれています
『家事労働ハラスメントー生きづらさの根にあるもの』
序章 被災地の百物語
1 元祖ワーキングプア
2 「専業主婦回帰」の罠
3 法と政治が「労働を消す」とき
4 男性はなぜ家事をしないのか
5 ブラック化するケア労働
6 家事労働が経済を動かす
終章 公正な家事分配を求めて
暗黙のうちに織り込まれた存在
日本の正社員は、実はフルタイムで働けることが条件ではない。会社が必要なときに何時間でも働けるという高い拘束を受け入れる人たちが「正社員」だ。そこには、家事や育児を一手に引き受ける「妻」の存在が、暗黙のうちに織り込まれている。女性たちを昇進から排除し、その結果、賃金上昇からも排除しているのは、妻に家庭を任せられる働き手でなければ成り立たない高拘束を前提とする日本の労務管理だ。
『家事労働ハラスメントー生きづらさの根にあるもの』第1章 元祖ワーキングプア、より引用
家事は「妻」がすべてやってくれるから夫はやらなくていい
夫はフルタイムどころか必要なときに必要なだけ何時間でも働くことを求められている・・・
企業側がこんなふうでそれを良しとしてしまっている世の中だから、そりゃ日本は「世界一家事をやらない男性と世界一家事をやりすぎな女性」の組み合わせになりますよね
いろんな悪い連鎖が組み合わさり、悪循環が起こった結果、現在の「女性が働きにくい世の中」というものができあがってしまっているのだなと思いました
女性が働くのに必要な最低条件
女性がそのような家計のもうひとつの柱として機能できるようになるには、実は次の条件が最低限、必要だ。
① 労働時間の短縮で、家庭の女性が一人で引き受けてきた家事や育児や介護、そして地域活動などの無償の労働を働く男女で引き受けられる余地を増やすこと
② これらの無償労働を、介護・保育施設などの社会サービスが一部分担することで、家庭が抱える無償の労働の負担を軽くすること
③ 家庭内の無償の労働を男性も分担することの三つだ。①は企業、②は行政、③は男性の分野で、この三者が分け持つことで、女性が一手に抱えていた家事労働が分担され、女性は空いた時間で賃金の稼ぎ手に回ることができる。
『家事労働ハラスメントー生きづらさの根にあるもの』第4章 男性はなぜ家事をしないのか、より引用
本書では「家事」を「無償の労働」と表現していることに共感を覚えます
やってあたりまえ、給料が発生しなくてあたりまえ
そして、いざ給料をもらうために働きに行こうとするといろんなことが障害となってあらわれてくるのです
家事を一手に引き受けている妻が働きに出るということは妻本人の力だけでは無理があり、企業、行政、男性の協力が必要不可欠ということですね。妻の立場から見て「家事をやってあげている」と言う気は毛頭ないですが、「働きに行きたいので協力してください」とこれら3つにおうかがいをたてなければならないというのはなんか違う気がします(本書に文句を言っているわけではなく現状が嘆かわしいということです)
私も現在、働きに出ようと計画中ですが、平日の夫のマンパワーはゼロに等しいため(ゴミを玄関からごみ捨て場に運ぶのみ)私はほぼすべての家事をこなしながら働きに出ることになります(+発信活動も続けます)我が家の場合は子どもが中学生のためなんとかなりそうですがそれでも私自身体力に不安があり少々心配です。家族みんなが妥協できるところを見出し無理ない範囲でやっていきたいと思っていますが、このように妻が働きに出る場合には実にいろんなことを気にしなければなりません。
最優先は家事や子どものこと。職場の条件は家事やこどものことができる範囲内でしか選ぶこともできません。
つくづく女性にとって働きづらい国なんだなと思いますがそんな中でもうまくやっていくためには夫婦間での話し合いが必須なのだろうなと思います(我が家はできないので皆さま頑張ってください・・・苦笑)